CTN
Catch Triangle Notch
開発の経緯
開発のきっかけ
「髪が逃げないハサミがあったなら」これを実現することが永年のテーマでした。
スタイリストになるためにカットの修練が始まり、まずはブラントカットで真っ直ぐに切ることを目指します。しかしハサミは構造上、髪が刃元から刃先に向かって動きます。ハサミは使うに従って刃が鈍くなり、髪の動きがさらに著しくなります。
美しいストレートラインを表現するには、引き切りという技術を習得する他に、日ごろのお手入れと、研ぎなどでハサミを良好な状態でキープする必要があります。
ハサミの構造上の逃げ
ハサミは開いた状態から閉じる動作で髪を切る作用が起こる構造で、刃元から刃先に向かって髪が押し出される力が働きます。
これはハサミの宿命で変えることが出来ません。
もし、単純な動作で真っ直ぐに切りたい場合は、髪の動きを積極的に止める構造が必要でした。
開発にあたって
通常のハサミは、静刃と動刃に刃が付いています。両方とも同じ役割を担っており、つまりは髪に刃を食い込ませることを目的としています。
CTNモデルの開発は、この同じ役割を別々の目的に分けて、「髪の動きを止める機能」と「髪を切る機能」に分けました。具体的には、静刃に逆三角形の切れ込みを施し、髪の動きを受ける構造とすることで髪の動きを制限できました。
しかし、一方の動刃は片側で切断の役割を担うことから、今までよりも鋭い刃が要求されたのです。この問題は「LSBS」加工によって解決されました。「LSBS」加工は体積の増加によって刃を均一にすることが可能となり、これまで以上に強くて鋭い刃を形成することで目的を達成することが出来たのです。
CTN加工が完成して
開発を始めた時のイメージと実際の感想
初めは、片方の刃が髪の動きを止める役割であれば、切断が出来るのは片方の刃だけということで目的が達成できるか?という問題でした。
しかし包丁やナイフで何かを切る時は、対象物をしっかりと押さえて、動きを抑制することで切断が実現出来ることが分かりました。さらに、切断面の綺麗さは、いかに対象物の動きを抑制できるかと、刃の鋭さによって優劣が生じることも分かり、その点CTNモデルは単に髪の動きを止める機能を有するだけでなく、美しい切断面でカットすることがわかり、開発当初の予想を上回る機能を有することが完成して確認できました。
CTNをどのようにお客様に使っていただきたいか
このモデルはドライカットの時に柔らかく切れるモデルと、ウェットカットの時にしっかりとストップさせることが出来るモデルを用意しております。
好みやシーンによって使い分けてご使用ください。
そして重要なことは、刃が鋭いがために「カエリ刃」が出やすい構造であることも確かです。
ユーザー様には日ごろのお手入れとしてカエリ刃の処理をしっかりと、刃を拭き取ることをお願い致します。